アトピー性皮膚炎はかゆみが強い皮膚の病で、一度掻きだすとさらにかゆみが増してしまいます。
この痒さに耐え切れず、ついボリボリとかいてしまうことを繰り返すうちにアトピー性皮膚炎独特の「色素沈着」が起こるのです。
アトピー性皮膚炎の色素沈着を改善する方法をご紹介したいと思います。
アトピー性皮膚炎とは
アトピー性皮膚炎は外からの刺激に対して、皮膚の内側が過剰に反応して湿疹やかゆみなどが生じます。皮膚のバリア機能の低下により外からの刺激を受けやすい体質と、少しの刺激でもアレルギー反応を起こしてしまいやすい体質の両方が関係しています。
皮膚の外側の角層がもろく、水分を逃しやすいため乾燥肌になります。そのため、外の刺激や異物も簡単に入ってしまいます。
また、角層には痒みを感じる神経が多いため、ちょっとした刺激で痒くなります。それで掻くと皮膚を傷つけ角層がさらに弱くなり、皮膚が過敏になり痒みが増すという悪循環になります。
アトピー性皮膚炎を発症した人の多くはアトピー素因と言う体質を持っており、家族や本人がアレルギー性疾患(気管支喘息、アレルギー性鼻炎、アレルギー性結膜炎、アレルギー性皮膚炎)にかかったたことがある人が多いといわれています。
一方、アトピー素因を持っていない人でもかかり、ほとんどが1~5歳で発症します。
アトピー性皮膚炎の症状
アトピー性皮膚炎は、皮膚にかゆみのある皮疹という目に見えて分かる湿疹などの症状が出て、良くなったり悪くなったりを繰り返し慢性化しやすい病気です。
皮疹は額、目や口のまわり、唇、耳のまわり、首、手足の関節、胴体など皮膚の薄いところにできやすく、左右同じような場所に出ます。
慢性期の症状としては、皮膚が象の皮膚のように硬くゴワゴワしてきたり、赤黒い色素沈着や皮膚の色が一部抜け落ちたように白くなったりします。
アトピー性皮膚炎の色素沈着の原因
アトピー性皮膚炎を発症している人は、炎症後色素沈着と言って炎症を起こした後に皮膚が日焼けした状態と同じようにメラニンが生成されて皮膚が黒くなります。
また、皮膚のバリア機能が低下して乾燥しているところに、さらに紫外線などの刺激により、色素沈着が起きやすくなります。すでに新陳代謝も悪くなっている為、いつも黒くなっているところは紫外線の影響を受けやすいというのも原因のひとつです。
原因がひとつではないのも改善されにくい理由のひとつなのです。
紫外線対策
紫外線を浴びることで皮膚のバリア機能が低下し、色素沈着だけでなく乾燥の原因にもなり、アトピー性皮膚炎の悪化を招きます。まずは紫外線を直接浴びないようにしましょう。
①5~9月の紫外線の多い季節や日差しの強い時間帯は外出を控えます。
②帽子や日傘をさし、汗をかいたら拭いて清潔に保つようにします。
③日焼け止めを使いましょう。
日焼け止めによっては悪化させてしまう場合もあるため、低刺激性とうたっているものでも、パッチテストをして大丈夫なら使用しましょう。
また、内側からのケアで、ビタミンCやセラミドが配合されたサプリメントもおすすめです。
ストレス解消
アトピー性皮膚炎は体に負担がかかったり、ストレスが溜まって無理をすると症状が強く出ます。子供は転校、受験、友人関係のトラブル、大人は転職、転勤、昇進、夜勤などがきっかけになりがちです。
早めにストレス解消するようにして、睡眠をとり栄養のバランスの良い食事をとるように心がけます。特に22時から2時は、肌の新陳代謝の働きをよくする成長ホルモンが分泌されるゴールデンタイムです。この時間は、必ず睡眠をとるようにしましょう。
食事で抗酸化作用のあるビタミンC・E
食物物質にアレルギー反応を起こす化学物質である、ヒスタミンを含む食物(そば、ブタ肉、サバ、マグロ、サケ、ナス、トマト、イチゴ、チョコレートなど)をたくさん食べると痒みを誘発し皮膚症状が悪化します。
アルコール類や香辛料には血行促進作用があり、過剰摂取により痒みを誘発する可能性があります。ワインやビールにはヒスタミンも含まれていますので控えましょう。
果物や野菜はビタミンC、E、B群が多く含まれていますので、美肌や美白に効果があります。
また、水素水は肌荒れや肌の炎症を抑える効果があります。
肌の乾燥を防ぐ
乾燥肌は外からの刺激で痒みを感じやすくなるため、掻くことで湿疹が悪化します。湿疹がひどくなると皮膚のバリア機能が低下して、さらに乾燥がすすみ悪循環が起きます。保湿剤をしっかり使うことで乾燥を防ぐようにします。
肌が乾燥していると、肌のターンオーバーが正常に働かず、色素沈着が起こりやすくなります。美白や美肌効果のある刺激が少ない保湿剤が使いましょう。
冬は室内では暖房を使い皮膚が乾燥しやすいので、加湿器を使いましょう。
逆に汗をかくとアトピー性皮膚炎が増悪するので、汗をかいたら石鹸は使わずシャワーで洗い流します。シャワーの後は水分を軽くふき取り、5分以内に保湿剤を塗っておきます。洗ったままにすると乾燥しますので必ず保湿剤を塗りましょう。
衣類や寝具を工夫
毛足が長く、チクチクするウール素材などは避けます。新しい下着は、1度水洗いしてから使います。
柔軟剤は痒みを起こさなければ使えます。洗剤やシャンプー・リンスは、界面活性剤などが使われていない石鹸の使用がお勧めです。
特に顔や首など皮膚が薄い部分は、ゴシゴシ洗わないようにしっかり泡立てて優しく洗い、洗浄剤が肌に残らないよう洗い流します。
寝具は、綿100%のもので中綿は羽毛や羊毛は避け、ダニが繁殖しにくいポリエステル綿がお勧めです。
化粧品の選び方
色素沈着や赤ら顔を目立たなくするため、お化粧をしたいと思う方も多いですよね。
刺激性の少ない化粧品を使えば安心ですが、念のためパッチテストを行ってから使用しましょう。
パッチテストのやり方
腕の内側に化粧品をしみこませたカットバンを貼ります。
1~2日後にはがし、かゆみや発疹・赤みがなければ使用可能です。
皮膚を掻かかないように工夫
痒いところに柔らかい布で包んで、冷却枕や保冷剤・冷たいおしぼりを当てます。
身体を動かしたり、自分の好きなこと集中して意識をそらすなど、掻いたときに傷をつけないように爪は短くしておきましょう。
また、寝ているときに掻いてしまうことがあるため、手袋をする、長袖を着るなど、無意識な状態で掻いても大丈夫な様に対策をしておきましょう。
まとめ
アトピー性皮膚炎の色素沈着を防ぐには、皮膚のバリア機能を保つことと、炎症を起こさないことが大切です。
まずは乾燥を防いでかゆみの予防と、代謝促進をするなど、体の内側と外側の両方からケアすることが有効です。
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